Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「そばにいたいと言ってくれたとき。すごく嬉しかった。俺も同じ気持ちだ。けれど、これでもし華穂ちゃんを危ない目に遭わせるようなことになったら、俺は自分を許せなくなる」

そう言って、私の身体を離した。
温もりを失ってしまった身体は妙に寒々しくて、ぽっかりと穴が空いてしまったかのように空虚だ。

「だから俺は、もといた場所に戻る。華穂ちゃんの人生をめちゃくちゃにしてまで、自分のわがままを貫き通すことはできないよ。時が経てば、この決断でよかったのだと思える日がくると思う。想いに蓋をしても、今ならまだそれほど傷つかなくて済む」

彼が、私の額にそっと口づけを落とした。
離れるのを惜しむみたいに、きゅっと抱き寄せて。

「いままでありがとう。それから……ごめん」

私の気持ちなんてお構いなしに、勝手に最後の別れを切り出す。

ちょっと待って……

美しい芸術作品のように完成された別れを演じる彼に、怒りと悲しみがじわりじわりと積み上がってくる。

ありがとう……?
ごめん……?
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