Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
そんな短い別れの言葉で、今までの私たちの関係をなかったことにしようとしているの?
人の気持ちを散々掻き乱しておいて……。

もうさよならじゃ済ませられない。私の人生の深いところまで彼が組み込まれていて、はいそうですかなんて切り離すことはできないんだ。

一秒一秒経過するごとに、処理しきれない感情は膨れ上がる。

最後の最後まで思わせぶりな台詞を吐いて逃げようとするなんて、ロミオとジュリエットじゃあるまいし。
今さら自分だけ大人ぶって身を引くなんて、ずるい。

「綺麗ごと言わないで」

静かに反論した私に、彼はピクリと反応した。

「……華穂ちゃん?」

私の様子がおかしいことにやっと気づいたのか、恐る恐る覗き込んでくる。
でも、今さら顔色をうかがってきたって遅い。

「私のためだなんて、いかにもな言いわけで正当化しないでください! そんなんじゃ全然納得できない!」

素直に私が『はい』なんて言ういい子だと思っているのだろうか。
突然の反抗に、御堂さんは面食らってポカンとする。

「自由に生きられない立場なのはわかりました! でも、それに抗うために今まで戦ってきたんでしょう!? どうして今ここであきらめちゃうんですか!? 人生をあきらめる理由が私だなんて、寝覚め悪すぎです」

「華穂ちゃんのせいだと言っているわけでは――」

「言ってますよ、私に危険が及ぶから想いに蓋をするとか……あんな言い方されたら、私の方が気持ちを整理できません!」

思いのまま、彼の両腕を掴み強く揺さぶる。

遠慮なんてもうしたくない。
どうせこのまま終わりにさせられてしまうなら。
せめて最後くらい本当の気持ちをぶつけさせて。
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