Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「思わせぶりなことして! どうしてあのときキスなんかしたんですか! 人の気持ち弄ばないでください!」

「弄んだわけじゃない、あのときは本当にっ――」

彼が一瞬言い悩む。
けれど、追及する私の視線に堪え切れず、躊躇い、困惑しながらも、とうとう観念して本音を吐き出した。

「――華穂を、愛してたから」

やっと口にしてくれた言葉に、ぎゅっと胸の奥が熱くなる。

――と、ちょっと待って? 『愛してた』? 過去形?

「今はもう飽きたって言うんですか!?」

「違う! 今だって――」

完全にペースを乱されてしまっているのだろう、こんな状況、当初の思惑とは違ったはずだ。
悲劇の物語を紡ぐように、私のもとからフェードアウトするつもりだったのだろうけれど、そんなこと、許さない。

彼は苦い表情を浮かべながら目線をせわしなく泳がせたあと、やむなく掠れた声を絞り出した。

「――愛しているよ……」

そう言って今度はやけくそに私を抱きしめる。
さっきの理性的なものとは違う、本能のままの抱擁。彼の胸に顔がぐっと埋まって、息ができなくなる。
でも、このくらい苦しい方がちゃんと求められてるんだって感じがする。
そう、これが欲しかったんだって、やっと自分に納得ができた。
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