Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「追ってくるなよ。華穂を傷つけられたくなければ」
御堂さんの表情にはっきりと浮かび上がる焦り。
力を込めた陣さんの腕は、わずかに震えている。
三人の間に流れる緊張感は間違いなくピークを迎えていた。
けれど私は――
「……陣さん」
自分の首に向けられたナイフに手を伸ばし、両手でそっと刃の部分を握りしめた。
刃もとが完全に私の指に食い込んでいて、肌が切れていないのが奇跡的だった。
少しでも力を込めれば簡単に鮮血が吹き出るであろう状況に、御堂さんと陣さんが息を飲む。
「お前っ!」
「華穂!」
御堂さんが咄嗟に飛び出してくる。けれど私を人質に捕られている以上、近づくことも許されなくて、狭められない距離にやるせなく身を固める。
けれど、彼以上に動揺をあらわにしたのは――
「なっ!? バカ! お前、なにやってんだ!」
私をうしろから抱きすくめていた陣さんが、誰よりも狼狽していた。
「やめろ! その手を放せ!」
私は刃にかけた手が切れてしまわない程度に、ゆっくりと押し出して自分の身体から遠ざけた。
柄を握る陣さんはその力に従うほかなかった。
下手に動かせば、私の手が切れてしまうからだろう。
「バカ! もうやめろ! 怪我したいのか!?」
警告というより、懇願するように陣さんが叫ぶ。
刃を引っ張ってみると、力なんてたいして使っていないのにあっさりと彼の手からナイフが離れ、コト、と小さな音を立ててカーペットの上にこぼれ落ちた。
御堂さんの表情にはっきりと浮かび上がる焦り。
力を込めた陣さんの腕は、わずかに震えている。
三人の間に流れる緊張感は間違いなくピークを迎えていた。
けれど私は――
「……陣さん」
自分の首に向けられたナイフに手を伸ばし、両手でそっと刃の部分を握りしめた。
刃もとが完全に私の指に食い込んでいて、肌が切れていないのが奇跡的だった。
少しでも力を込めれば簡単に鮮血が吹き出るであろう状況に、御堂さんと陣さんが息を飲む。
「お前っ!」
「華穂!」
御堂さんが咄嗟に飛び出してくる。けれど私を人質に捕られている以上、近づくことも許されなくて、狭められない距離にやるせなく身を固める。
けれど、彼以上に動揺をあらわにしたのは――
「なっ!? バカ! お前、なにやってんだ!」
私をうしろから抱きすくめていた陣さんが、誰よりも狼狽していた。
「やめろ! その手を放せ!」
私は刃にかけた手が切れてしまわない程度に、ゆっくりと押し出して自分の身体から遠ざけた。
柄を握る陣さんはその力に従うほかなかった。
下手に動かせば、私の手が切れてしまうからだろう。
「バカ! もうやめろ! 怪我したいのか!?」
警告というより、懇願するように陣さんが叫ぶ。
刃を引っ張ってみると、力なんてたいして使っていないのにあっさりと彼の手からナイフが離れ、コト、と小さな音を立ててカーペットの上にこぼれ落ちた。