ナミダ列車









「…それは、大切な誰かと一緒に乗っているからだ」

「…大切な、」

「人は人と寄り添い合うことで無限に強くなれる。何処へだって行ける。レールが何本も引かれていたとしても臆することはないんだ。ゆっくり移動しながら、その場その時一瞬一瞬が、不安要素なんてまったくない、生きる上で重要な気づきや発見に変わる」

「…」

「目的地の分かる電車に乗ってしまったらそうもいかない。そうやって人は、成長してゆくんだと、俺は思う。だから、………いろはもどうか勇気を出して、乗り込んで」






ハルナさんの瞳が少しだけ揺れていた。

日常も非日常を電車で例えている。彼も私と同じ考え方をしている人なのだとあらためて悟った。







「俺が、ついてるから」

「…そこで急に説得力なくなったんですけれど」

「うわ、酷いな」



けれど、付け足された言葉に一気に肩が落ちた。

さっき知り合ったばかりのハルナさんと私が運命を共にしたところで、生まれる心の強さなんてものは微塵にもならないと思う。

せっかく電車に乗っているんだ。私だってもっともっと見知らぬ場所に踏み入れてみたいけれど。




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