ナミダ列車
「にっこう!」
「にっこぉ〜?それ何処ぉ?」
「とちぎの北のほうだって!」
「えっ、とちぎけん?なんかつまんな〜い」
何がつまらないのだろう。
ショボいと思っていることが丸分かりな反応だった。
何処に行くのかがそんなに大事なのか。
訪れた先で何を感じて何を学ぶのか、ということの方が大事なのではないのか。
当時の私はその時からこんなことを考えていた。少しだけムッとしながら私はランドセルを背負って"バイバイ"をする。
家に帰っても父も母もいない。
寂しさがないといえば嘘になるけれど、私は分かっていたから。
父も母も私のために働いてくれていることを知っていたから、へっちゃらだった。
それに、絵の勉強に没頭することを覚えた私はさらに無敵だった。
せっかくの一人の時間なんだから何かできないかな…って、アイデアをくれたのは別の人だったけれど。
気がついたら父と母が帰宅している、なんてことは多々あったし。