ナミダ列車
「今日もいっぱい描いてたかあ?」
「ウンと描いたよーっ!見て見て!これね、植木鉢眺めながら描いてみたの!」
「うまいなあ〜いろは。絵描きさんになれるんじゃないのか?」
「これ、いろはが描いたの?すごいわあ!額縁買って飾らなきゃ!」
父と母は仕事から帰ってくるなり、絵を広げている私に向けて、とびきりの笑顔を落としてくれる。
ああ、笑顔になってくれた。
描いてよかった。
フフン、と得意げになりながら、もっともっとうまくなって綺麗な風景画を描けるようになるんだ、と強い目標を抱いていたりもした。
────そしていつか、父と母が大好きな日光の絵を、私が描いてみせてやりたい。
"だったらさ、にっこうを描けばいいんじゃない?"
そう。そのアイデアをくれたのは……、誰だったっけ。