ナミダ列車
なんの違和感もなくスラスラと口を開いていったハルナさんに目を丸くする。
慌てて手帳の内容を確認してさらに息を呑んでしまった。
────語り方こそは違うものの、内容は九割がた一致していたからだ。
私はその日、母にベーコンエッグトーストを作ってもらっていた。
休日であっても朝ごはんをしっかり作ってくれる彼女を尊敬していたし、なにより大好物だったために日記に書いてしまったんだと思う。
親の出勤を見送ると、スケッチブックを持って近くのフラワーパークに……。
「なんで……」
さきほどチラッと覗き見されたけれど、流石にあの時間だけじゃこんなに細かく記憶することは困難だ。
「どう?」と再度首を傾げてくるハルナさんに生唾を呑んでしまった。
「だから言っただろ?いろはのことなら何でも知ってるって」
「……何者…?」
「さあ?なんだろうね?」
私のことを一方的に何だって知ってる男の人。戯れ言のようにも、真面目なことのようにも聞こえなくない意味深な顔つき。
決して健康的ではない真っ白な肌と、しなやかな手足がミステリアスな雰囲気をより引き立てる。
────ガタンゴトン。電車が、揺れていた。