ナミダ列車





…そんなことも言われたっけ。


苦笑しそうになりながらも思う。

その言葉は小学校高学年、中学生、そして高校生の今へずっと生き続けていたことだった。




だって、何年の付き合いになるんだ?先生と私はいつも二人三脚で作品を作り出してきた。中学生の頃、下野教育美術展ではじめて金賞をとった時には二人で抱き合って喜んだ。

大賞にはまだまだ届かなかったものの、そのほかの美術展でも私の作品がポツポツと入賞していって、壇上で表彰されることも多くなった。



確かにうまくいかないこともあった。

才能がないのかも…と。


でも、それでもあきらめず続けられたのは、強い目標や夢の意識と、人の支えがあったからだ。

切磋琢磨して、互いを刺激しあって…————。








「お、頑張ってんね」

放課後、美術室。

黙々とキャンバスに向かう私の意識が引っ張られ、“南中学校陸上部”の文字が入ったジャージが視界の端にちらつくのはよくあることだった。



———触り心地のよさそうなタオルを首に巻いて汗をぬぐう少年は…。


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