ナミダ列車
せきせきと言葉を並べ、つぶらな瞳を涙ぐませると顔を綻ばせて背を向けた。
……なんなんだろう。
この感じ。
東武金崎駅で降りていったおじさんとも似ている奇妙な感覚。
「また何処かで出会えたらいいねえ」「ばいばーい!オネーチャンオニーチャン!」ホームに降り立った二人はこちらに手を振ってくる。
プシュー…。扉が閉まると、後ろ髪引かれる私を他所に電車は無慈悲に動き出した。
────旅は出会いをくれる。
それがたとえ、どんな形なのだとしても。
…ガタンゴトン。
隣が空白になるのがこれほど空虚的になるのだとは思いも知らなかった。
たかが数十分前に知り合ったばかりの人たちだというのに。
「瞳に色がついたね」
────ううん。思えば、この人もだ。この"東武日光行き"の電車に乗り込んだ時からずっとそう。
みんながみんな、私の心に大きく介入してくる。