桜色の涙
「あれって悠大くんと篠原さん?」
信じられないような目でそのふたりを見る矢代さん。
俺だって信じられるわけがない。かき氷の列に星那と江崎くんが一緒に並んでいるなんて。
でも、それは見間違いなんかじゃない。星那、どうして?友達と一緒に行くんじゃなかったの?
かき氷を買って嬉しそうに顔を綻ばせる彼女が見えた。
その隣には久しぶりに見た江崎くんの笑顔。
────あぁ、もうダメだ。
好きでいることをやめてしまいたい。こんなにもそう思ったのは初めてのこと。
今までは、星那を好きになって良かった。だから絶対に諦めない。
そう思って毎日折れそうになる心を奮い立たせていた。
でも、星那がまだ江崎くんのことを好きなら勝ち目はないよ。俺はどうすればいい……?