桜色の涙
「「いただきます」」
隣は渚、向かいには小谷さん、その隣には矢代さんが座って、4人で食べ始める。
夕食には洋食、朝食には和食が出るらしく、俺はパスタをメインにたくさん持ってきた。
さっきの体験学習。どうだったかと問われれば楽しかったと答えるだろう。なかなかいい仕上がりだった。
でも星那のことが気になって、作品作りどころではなかったというのが本音。
結局1度も話しかけずに終わってしまった。
諦めるって決めたんだからこれでいいんだ。頭ではそう思っているけど心はどこまでも正直で。
星那と話したい。触れたい。その欲望を抑えるのに必死だった。
それに、やっぱり星那はモテる。体験学習のときだけでも、同じ班の男子が好意をもっていることは嫌でもわかった。
でも気づいていないらしく、守ってあげたいという気持ちがいっそう強くなった。