桜色の涙


「ふう……」


これからどうしようか。



小谷さんに告白されて返事を保留にした後、少し気まずい雰囲気が流れて彼女は部屋へ戻っていった。


俺も部屋に戻ろうと思ったけど、まだ20分だけ自由行動の時間がある。


渚はいないけどひとりで少し散策してみよう。そう思って来た道とは反対の方向へ行ったのが間違いだった。



ガタンと大きな音がして目の前に現れたのは。


「え、星那?」


なんと物陰には星那が隠れていたらしい。バツが悪そうに顔を隠しているけど、そんなことをしたってもう意味はない。


「……考えるんだね」


ボソリと呟かれた言葉は小さかったけど俺の耳にしっかり届いた。さっきの告白を聞いていたんだろう。
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