桜色の涙
「……ねぇ、嘘だよね?悠大」
目の前の星那は震える声で俺に問いかける。きっと俺からの否定の言葉を待っているんだろう。
「……ごめんって。なんか、遊び心っていうか。もう3年目だし、正直飽きたんだよ」
繕うのも、本当のことを話すのも無意味に思えて、本心も交えながら星那を上から見下ろす。
華奢な体。抱きしめたくなるその瞳。それらを素直に受け入れられなくなったのはいつからだろうか。
ただ隣にいるだけじゃ幸せを感じなくなったのはいつからだろうか。
「最低……。悠大なんて大っ嫌い!……もう別れよう」
なんとでも言えばいい。これがきっと本当の俺だから。
「ん、そうするか」
そう思っていたけど、今まで怒ったこともなかった星那の珍しい一面を見るとそんな心も引っ込んでしまう。