桜色の涙

「っていうか、星那だって広瀬と浮気しているんじゃねーの?」


そんな俺から出たのは思ってもいない言葉。


俺が言えることじゃないけど、星那が俺以外の男子と一緒にいるなんて信じられなかった。



「これはたまたま。それに私が好きなのは……」


あ、まただ。止まったと思っていた涙がまた星那から溢れそうになる。


「星那ちゃん、行こう」


すると、ふいに今まで黙っていた広瀬が口を挟んだ。


なんだよ、これは俺と星那の問題なのに。星那のことが好きだからって部外者に突っ込まれたくない。



「もういいから。早く行こうよ」


急かすように星那の腕を引っ張る広瀬。


星那、ごめん。もう楽しかった日々は終わりだ。
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