桜色の涙
「じゃあな、星那」
「……っ」
俺の言葉に傷ついた表情を見せる星那。
「……さよなら、悠大」
呼吸を落ち着かせて出てきたのは、俺に別れを告げる言葉だった。
────星那、好きだった。
心の奥底で叫んでいる本当の想いには気づかないフリをして、俺は星那と別々の道を歩んでいくことを決めた。
「迅くん、行こっか」
広瀬の方を向いた星那は今にも泣きそうな顔で、笑っていた。そんなふたりをもう見ていられなかった。
どんどん遠ざかっていく星那。
これで終わったんだ。まさか俺達が別れることになるなんて思わなかった。
俺はきっと永遠に星那のことが好きで、星那もずっと同じ気持ちでいてくれると幼いながらも信じていたから。