桜色の涙
「悠大くーん、これからどうする?」
「黙れ。帰る」
ピシャリと言い放って、追いかけてくる女から逃げるように家へ帰った。
不思議と涙なんて出なくて、やっと星那と別れられてせいせいしていた……はずだった。
それから寄ってくるのは星那とは全く違うタイプ。派手でうるさくて媚を売っているような奴ばかり。
最初は飽きなかった。毎日のように代わり映えする世界。そのときは楽しかった。
それでもその女に自分から触れようとは思わなかった。
家に呼んだこともあったけど俺の気持ちは変わらなかった。
やっぱり俺が近づきたいと思うのは星那だけで、近寄ってきた誰とも手を繋ぐことすらしたことがない。
別にそれでいいと思っていたんだ。