桜色の涙


でもある日、星那と広瀬が付き合っていることを知った。


どこからの噂かはわからないが、それは離れた俺のクラスまで届いて。


信じられない。俺の心の中は一瞬で星那でいっぱいになった。


たまに向けられる熱くも切ない視線。その正体が星那だってことには気づいていたから。



どうして付き合っているのか本当に不思議だった。星那は俺のことが好きなはずなのに。


そう思うと無性に知りたくなった。


『どうして広瀬と付き合ってんの?』


そう聞きたくなった。





そして、終業式の日。


名前も知らない女子達に星那を呼び出してもらって話をした。


別れてから久しぶりに話した星那は、あの頃とは変わっていた。


少し伸びた髪の毛。前より大人びた顔。



途中で広瀬が止めにきてあまり話はできなかったけど。


────やっぱり好きだ。


そんな気持ちが芽生えるのを確かに感じた。
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