桜色の涙
『悠大くん、好きです!』
『遊びでもいいからお願いっ!付き合っ……』
遊びでもいい、なんておかしなことを言い出す目の前の女に腹が立った。
自分の身をなんだと思っているんだよ。俺は誰かに想われるようないい人間じゃない。
好きな女を……傷つけて泣かせるような奴を誰も好きになるはずがない。
でも、その女はどこまでもまっすぐで、毎日のように俺のあとを追って告白してきた。
最初は嫌な顔で見ていたが、今では空気のように無視することにしている。
だって俺には、心から好きだと思える相手がいるから。
でも、もう近づくことなんて無理だと思っていた。
星那の心がもう俺に向いていないことはわかっていたし、きっと話してもくれないと思っていたから。
だから本当に奇跡としか思えなかったんだよ。夏祭りの日、星那と再会できたことは。