桜色の涙
俺は、1年のときから仲のいい友達と一緒に夏祭りへ来ていた。
男ふたりなんて情けないけどこれが現実。懲りずに誘ってくる女をあしらうのが面倒で隣にいた男をつれて夏祭りに来た。
そこまではいいものの特に楽しいというわけでもなく、そろそろ飽きてきた頃だった。会場で星那を見つけたのは。
『星那?何してんだよ』
ふいに誰かとぶつかり不機嫌に顔を上げると、そこにいたのは星那で。なぜかひとりで寂しそうな顔をして佇んでいた。
その格好は、去年と同じように浴衣を着ていた。
誰と来たんだ?まさか……広瀬?いや、ふたりは別れたらしいからそんなはずはない。
そうは思っていてもどうしても不安は拭えなかった。