副社長のイジワルな溺愛
――翌週木曜。
明日はいよいよ倉沢さんのお誘い当日。
考えるだけでドキドキするし、何を話せばいいのか悩みは尽きない。
いつも気恥ずかしくて避けてきたけど、明日くらいはスカートを穿いて女性らしくしよう。そのために副社長だって日頃アドバイスしてくれていたわけだし、その成果が早くも現れたんだから。
「どうしたの? なんか今日は楽しそうだね」
「そうですか? いつも通りですよ」
どうしても隠しきれない浮いた気持ちが顔に出てしまっていたのか、香川さんに気づかれてしまった。
仕事はちゃんとこなしているけど、心の中は倉沢さんから送られてきたメールと、明日の約束で満たされている。
倉沢さんが私を誘ってくれるなんて、きっとないだろうなって思っていたから……余計に。