副社長のイジワルな溺愛
賑わう街を小走りで駆ける。
ぶつかりそうになって謝ったら、さっき倉沢さんが守ってくれたのが幻みたいに感じた。
少しでも倉沢さんに近づいたら、こうやって周りから冷たい目を向けられるんだろうな。
副社長と噂されてしまうのも納得。
私なんかが目立っちゃいけないんだ。
でも、倉沢さんのことは好きで……好きで、止められない。
「深里さん! 待って!」
赤信号を待っていた私は動けずに、追いかけてきてくれた倉沢さんの手に捕まってしまった。
「っ、待って……」
息を少し切らし、髪を乱して走ってきたくれた彼は、私の腕を離してくれそうにない。
「私と関わると、倉沢さんも悪く言われちゃいますよ」
「いいよ、別に」
深く息を吸って呼吸を整えた彼は、まっすぐ私を見下ろして言い切った。