副社長のイジワルな溺愛
「全然よくないです。私がいたせいで、皆さん楽しく飲めなくなっちゃって。連れてきてくれた倉沢さんまで悪く言われて」
「だからいいんだって」
「どうしてですか!?」
言い合う私と彼を、サラリーマンたちが冷やかすような目つきで眺めていく。
「……だって、噂は噂でしかないんでしょ? 副社長とはなんでもないんだろ? だったら、俺が話したいと思ったら話すし、困ってたり寂しそうにしてたら何とかしてあげようと思うよ」
きっと、最後まで倉沢さんは私を信じてくれるんだろうな。
周りが何を言っても、私が違うって言ったらそれを信じてくれる。
誰にも優しくて、朗らかで。
こんな私にも同じように接してくれて――。
「倉沢さんは、好きな人いないんですか?」
「え? 俺の好きな人?」
私の問いかけに、倉沢さんはきょとんとしている。