副社長のイジワルな溺愛

 噂なんて気にしない。
 そのうち消えるから、放っておけばいい。

 分かっていても、やっぱり気にしてしまう。



「そろそろ戻ろう?」
「うん」

 ランチタイムの一時間が終わりが近いのを彼女が気づいてくれて、私たちは足早に経理室に戻った。



 自席に戻るなり、メールを確認してしまう。
 でも、倉沢さんからの返信は届いてなくて、気持ちを入れ替えて業務を進めた。



 香川さんは予定があるらしく、定時になると早々に退社していった。
 私は今日も予定なし。明日も明後日も、その次も。

 好きな人に想いも告げられないまま、いたずらに時間が過ぎていく。

 十八時になって私も経理室を出た。
 倉沢さんの返事を待っていると、考えて悩んで……そればかりだ。


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