副社長のイジワルな溺愛
倉沢さんに会いたい。
倉沢さんと話したい。
なんでもいい、仕事のことでもいい。
期限ギリギリの経理書類でもいい。
今までと同じ出来事をただ繰り返すだけでもいいから……。
「倉沢は、年明けにはマレーシアだからなぁ。寂しいだろう、君は」
「っ……はい」
「正直だな」
「すみません」
せっかく労ってくれているのに、また私情を挟むなんて失礼だと分かっていても、忘れられない思い出が涙になってこみ上げてくる。
「告白はできたのか?」
「…………」
頷くと、大粒の涙が落ちた。
あんなに泣いたのに、まだ涙があったんだなぁ。
早く思い出にしたいのに、過去になるのが悲しいなんて。