副社長のイジワルな溺愛

「ありがとうございました」
「ゆっくり休んで。おやすみ」
「おやすみなさい」

 タクシーの真っ赤なテールランプを見届けてから、帰宅した。


 副社長は、私が倉沢さんに片想いをしていると知っても、想い続けていてくれたんだな……。

 彼は冷徹で笑顔を見せない仕事人間のイメージばかり持たれているけれど、本当は優しくて温かい心の持ち主だと思う。
 たった一人に向けられるその愛情を、私なんかが受け取っていいのか悩んでしまう。


 副社長に対する尊敬と憧れが恋に変わったら、その時は伝えようと思う。
 彼の気持ちが変わらないとも限らないけど、今はまだ自分の気持ちが揺れているから、答えが導き出せそうにない。



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