副社長のイジワルな溺愛

 定時を三十分ほど過ぎてから、今日の業務を終えて帰宅した。
 もっと騒がれたり、場合によっては熱烈な副社長のファンに問い詰められたりするかもしれないと思っていたけど、昼間に彼が一蹴してくれた効果はてきめんだったようで、スムーズに帰宅できた。


【今日は客先と予定が入ったから誘えなくて残念だけど、また日を改めて】

 帰りの電車に揺られている時に送られてきたメールを読み返す。
 本当に毎日でも誘うつもりでいるようで、その熱量に圧倒されつつ、私も文字を選んだ。


【お疲れさまです。今日は自宅でゆっくりします。副社長はお忙しいと思いますので、あまり無理をして私のために時間を割かないでくださいね】

 気持ちは嬉しい。
 男性に好きだと言われるのが、こんなにもドキドキして意識させられるものなんだと初めて知った。
 それに、私のことを考えていてくれる人がいるという事実が、心の拠り所のようにも感じる。
 倉沢さんに失恋した私を甘やかしてくれたのは、他でもない彼だ。


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