副社長のイジワルな溺愛

 十一月を迎え、街並みはすっかり秋支度を済ませて、紅葉が埋め尽くす。
 そんな景色を十七階の経理室から眺め、遠くに視線を流した。


「深里さん、今日のお昼一緒に行ける?」
「うん。時間合わせて行こう」

 香川さんからも声をかけてもらえて、今日はお誘いが多いなぁと思った。



 午前中はいつもと変わらずに、それなりに慌ただしく過ぎていった。
 倉沢さんが参加するプロジェクトの資金関係で、彼もこのフロアにやってきたようだったけど、同じ大学を卒業した先輩がいるにもかかわらず、今日は経理室に顔を出さなかった。



 十四時前に席を立ち、香川さんとエレベーターで地上階へ下り、社外の洋食屋へやってきた。
 私より外食で済ませることの多い彼女は、来店スタンプが貯まったから割引してもらえると少し嬉しそうだ。


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