副社長のイジワルな溺愛
「深里さんには、先に言っておきたくて」
「何を?」
「……倉沢さんに告白しちゃった」
「えっ! いつ!?」
「昨日、帰ろうとしたら外出先から戻ってきた倉沢さんにばったり会って、そこで少しだけ時間をもらったの」
やんわりとした彼女らしい口調からは、答えがどんなものだったかは察するのが難しいけど、でも後悔はしていないように感じられる。
背中を押せてよかったと、私の心も波立つことなく穏やかだ。
「そしたらね。倉沢さんも私を好きでいてくれたんだって」
驚きで、何度も瞬きを繰り返す。
彼が諦めた“好きな人”は、私が日々顔を合わせ、仲よくしてもらっている香川さんだったのだ。
「マレーシアに行かなくちゃいけないから、諦めようとしてる最中だったみたいで」
私と社内ですれ違えば、楽しそうにしてくれた彼の心は香川さんに向けられていた。
彼の中では癒しだと言ってくれていたけど、香川さんにはドキドキしていたのだろう。