副社長のイジワルな溺愛

 午後は、なんとなく仕事をこなしていたらあっという間だった。

 香川さんがご機嫌でいる分、自分が嫌な人間になったような気さえする。

 同じ人に恋をしていて、私の中ではライバルのようでもあった時もあった。堂々と倉沢さんが好きだと言えなかった違いはあるけど、香川さんに負けないくらい倉沢さんに焦がれていた。


 同僚の恋が上手くいったのだから、それでいいじゃないかと思うのに。

 香川さんが嬉しそうで、よかったと思えるのに。


 それだけじゃ片付かない想いが、私の心をかき混ぜてしまう。




 夕方、定時ぴったりに帰っていった香川さんは、倉沢さんの自宅に招かれているのだと聞かされた。

 マレーシアへ先に行く彼を追って、出国の準備を整えながらこれからの日々を過ごす彼女が、本当に羨ましいと思った。


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