副社長のイジワルな溺愛
金曜の夜は、多少の夜更かしができる。睡魔に襲われるまで、部屋着姿で過ごすのが定番で、今夜ももれなく同じことを繰り返している。
「副社長、帰ったかなぁ」
携帯の表示は二十二時を回ったばかり。
客先との会食があれば、今日みたいな日は遅くなっても不思議じゃない。
でも、もしあの広い部屋で一人で食事を澄ませているのだとしたら、誘ってほしかったと思う。
返事ができていないのに、なんて勝手なことを願うのだろうと思うけれど、心は正直だ。
そろそろ眠ろうかと思って、ベッドに横たわった瞬間、不意に携帯が鳴って飛び起きた。
「っ、もしもし!」
《まだ起きてた?》
「はい、金曜なので」
副社長の声は、電話越しでも耳元で甘く響く。
《今から会いに行ってもいいか?》
「えっ……!?」
《お前が足りなくて、倒れそう》
「あのっ」
《着いたら電話する》
一方的に終話された携帯を数秒眺め、ようやく状況を理解した私は、部屋を右往左往してしまった。