副社長のイジワルな溺愛

 ドアを背に受けて、玄関に入った彼が私を抱きしめてきた。
 しっかりした生地のトレンチコートは、夜風の冷たさを感じる。

 はぁーっと深呼吸するような息遣いで、彼は私を包んだまま離してくれない。
 副社長がどんな顔で来てくれたのか知りたいのに。



「……やっと会えた」

 私の髪に顔を埋めた彼がそっと呟いて、髪を撫でてくる。


「副社長?」
「ごめん、いきなり来て」
「いいですよ。私も会いたかったので」
「っ……!!」

 ちょっとだけ身体を強張らせた彼は、一層私を抱きしめてくる。


「なんでそういうことをさらっと言うかな、お前は」

 彼の胸元を少し押し返すと腕を解いてくれて、ようやく彼の顔を見上げることができた。


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