副社長のイジワルな溺愛

 慧さんは、私が言葉にしなくても色々と叶えてくれる。
 心の中を読まれているのかなと思うほどなのに、彼の仕草や言葉はとても自然で無理がない。

 仕事ができる人は、やることなすことスマートなのかもしれないなぁ。
 こんなに素敵な人に、私が似合うとは今でも思えないけれど……。


「足、疲れてないか?」
「大丈夫です」
「鼻緒で擦れたら、すぐに言いなさい。我慢するものでもないんだから」
「はい」

 いつもよりずっとゆっくりとした歩調なのは、きっと私に合わせてくれていたのだと気付かされる。
 周りにも恋人同士と思われる二人がたくさんいるけれど、男性が手を引いてどんどん先を急いだり、手も繋がずに彼女が懸命に背を追う姿を多々見かけた。


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