副社長のイジワルな溺愛

「抹茶かき氷をひとつください」
「ありがとうございます。お作りしますので、そちらの椅子におかけになって五分ほどお待ちください」

 手差しされた後方にある一枚板の長椅子に並んで座る。


「ひとつでいいんですか?」
「茉夏がひとつ全部食べきれるなら、もう一つ頼むけど」

 ディスプレイされている本物と見間違えそうなサンプルを見て、私は首を横に振った。
 あれを平らげたら、間違いなくお腹を壊してしまうと思う。


 ほどなくして、綺麗に盛りつけられた抹茶色が鮮やかなかき氷を手に店を出た。


「日が暮れても暑いなぁ」
「そうですね……溶けないうちに食べなくちゃ」

 彼が持ってくれているかき氷から、二本添えられているスプーンの片方で掬い、口に運ぶ。


 程よい苦みとミルク氷が合わさり、くどくない甘さのあずきがふんわりしていて……。


「んー!! すっごく美味しい!」
「そうだろ? 俺にも頂戴」

 あーん、と口を開けている彼に、私は照れながらもひと口大のかき氷を掬って運んだ。


< 352 / 386 >

この作品をシェア

pagetop