副社長のイジワルな溺愛
「副社長、美味しいですよね?」
「あぁ、そうだな。いつも通りだ」
「いつも?」
「ここには幼い頃からよく来ていたし、月に数回来ることもあるからな。別に珍しくはない」
……凡人と御曹司の生活は別世界なのだと思い知る。
こんなに豪華で居心地のいいお店は、一生に一度レベルだと思っていたのに。
「いいから早く食え。焼物と椀と握りがこれから来るから、全部平らげろよ」
「かしこまりました」
――二時間後。
美味しくて食べ過ぎた。残すなんてもったいなくてできなかったところもあるけれど、心から満足したせいでお腹はパンパンだ。
「ご馳走様でした」
「いつもありがとうございます。こちら、お土産の握りでございます。お帰りはお車でいらっしゃいますか?」
「いえ、少し腹ごなしに歩きますので、大丈夫です。また伺います」
女将と副社長のやりとりを眺め、彼に続いてお辞儀をして店を出た。