副社長のイジワルな溺愛

 三十分ほど経つと、店は大賑わいだ。
 いつもこうなのかわからないけれど、出入りする客層も上品な人たちばかり。TVで見たことのある大物芸能人もやってきて、店の格を感じた。

 一緒に座っている社員たちは、どうして私が同席しているのか不思議そうにしているし、各々についた女性に私が誰なのか問われても首を傾げている様子だ。


 副社長がおもむろに手を上げると、近くにいた黒服が近寄って膝を折った。


「いかがされましたか」
「総支配人はいらっしゃってますか?」
「ただいまお呼びしますので、お待ちください」

 みんな楽しそうにしてるのに、副社長だけは少しも笑わない。
 いつもこんなふうに過ごしているのかなぁ。


「副社長は、このお店によくいらっしゃるんですか?」
「領収書を使うのは客先と来た時だけだ」
「あ、いえ……そういうことを言いたかったわけではないのですが」

 冷たい視線で私を一瞥した彼は、周りの客に挨拶しながらやってきた男性に姿勢を正した。


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