副社長のイジワルな溺愛
「領収書の割印をいただきたいのですが」
「お急ぎでしょうか?」
「できれば、今日いただきたいです」
明日でも明後日でもいいけど、何度もここに来るのは避けたい。
それに他のものとまとめてファイリングして、早く業務を片付けたいのもある。
「それでしたら、ご自分でどうぞ。副社長は席にいらっしゃるはずですので」
明らかに作り笑顔と分かる冷ややかな表情を残して、ドアを閉められた。
気が重い。秘書まで噂が回っているなら、きっとご本人の耳にも入っているだろう。
自分の影を引きずるように歩き、副社長室の前に佇む。
明かりが漏れているから在室なのは一目瞭然。
ノックをしたら、「どうぞ」と返されて、もう一度深く息をついた。