副社長のイジワルな溺愛

「それでメイク直したつもりか?」
「はい」

 返事をしたら、副社長は小さく手招きして私を呼び寄せる。
 だけど、これ以上はデスクがあって近づけそうにない。


「顔、よこせ」

 気持ち程度に近付けたら、顎先を引き寄せられて一気に距離が縮まった。


「これくらいまともにつけろ」
「っ!?」

 親指で私の下唇の淵をなぞり、一瞬にして熱を帯びた私の顔を見た彼は意地悪に微笑んでいる。


「男の経験ないのか? 深里サン」
「っ……あ、ありますっ!! それくらい」

 片方の口角を上げて微笑む彼は、私を顔から手を離すと、引き出しからティッシュを出して指先を拭った。


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