副社長のイジワルな溺愛

「副社長から連絡があってね。深里さんを少しの間でいいから、貸してほしいって言われたんです。所属は変わらないけど、副社長の秘書の手助けをしてほしいそうだよ。どうかな、やってみない?」
「あの……ありがたいお話ではあるのですが、私なんかで務まるとは思えません」
「副社長は、深里さんじゃないと困るそうだよ。いいじゃない、あの人に気に入られて損することは何ひとつない。キャリアアップを考えているのなら、ひとつのいい経験になるはずだよ」
「…………今日の帰りまでにお返事させてください」

 答えを濁し、自席に戻る。
 室長は副社長に連絡を入れているのか、受話器を耳に当てている。


 何もなくても、あの冷徹副社長の秘書のヘルプなんて断っていただろう。
 噂になってしまったら、話を受けるのは気が引ける。


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