副社長のイジワルな溺愛

 御門副社長は、御門家の次男。
 三十二歳にして副社長の座に就いたのは、一族優遇というわけではなく、彼の実績が正しく評価されたからだというのは有名な話だ。

 モデル顔負けのスタイルは、百八十五センチの長身に小さな顔、長い脚と完璧。
 鋭さがありながら魅惑的な瞳の持ち主で、いつでも艶っぽい。

 海外に留学した彼は有名高校と大学を卒業して帰国し、英語とスペイン語を流暢に操るトリリンガル。
 家柄もいい上に高学歴、高収入。仕事はいつでも完璧――。

 女子社員の誰もが彼女の座を狙っている、私とは別次元にいる人だ。
 誰が言い出したのか、社の創立百周年の記念日には、副社長から婚姻届が渡されるという都市伝説のような噂まである。


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