深夜零時の呪い~止まらない負の連鎖~
苦しんでいるような声に何事かと
教室に入ろうとすると
「ひぎっ…いやぁあぁあああ!!」
ドア1枚越しに誰かの絶叫が鼓膜を破りそうなほど大きく聞こえた。
「ひっ!?なに……やぁぁぁぁっ!」
それに怯える誰かの悲鳴と
ゴト、という
重いものが勢いよく地に落ちたような
生々しい音。
それに釣られて噴水が吹き出たような
液体が飛び出す音。
「あはははっ…はははははははは
はははははははははははは…!」
悲鳴と絶叫の中に混じる狂気に溢れた嘲笑。
様々な鈍い音は恐ろしい程に
交わり合唱を繰り広げている。
いきなりの変貌ぶりに
ドアを開けて中を確認することもできず
私は中の様子を除くことが
怖くて出来なかった。
むせび泣く声、助けを求める声、
恐ろしさに狂ったように撒き散らす声。
私はドアの前で固まったように
音という音を聞いていた。
「………」
いつしか、悲鳴は聞こえなくなっていた。
「媛乃…?」
それに極わずかな安堵を覚え
迷いを振り切ってドアを開け
教室の中に入る。