深夜零時の呪い~止まらない負の連鎖~
「ところで……今、何時だ?」
「11時20分ですね」
恢斗から時間を聞くと、智弘は
軽く舌打ちをした。
「くそ……意外と時間が無いな。警察官に足止めをくらっていたのが効いたか。時間はちゃんと見ておこう。零時にトンネルの中にいることのないようにするために…」
零時にトンネルの中に……
聞いただけで体の奥底から
得体の知れない不安、恐怖が
込み上げてくる。
それだけは絶対に絶対に
避けなければいけない。
事件として騒がれてから何人か零時に
トンネルに入った人がいたが、
誰も食べられたりせず、無事に帰ってきたらしい。
だから心配する必要なんてないかもしれないけど……
やっぱりそれはやめた方がいいと思う。
「では、入りますね」
あぁ。
思わず両手を合わせ、ぎゅっと握りしめる。
ついに『幽霊トンネル』に入るんだ…。
「……」
立ち入り禁止と書かれた
ビニールテープを軽くまたぎ、
中へ入る恢斗。