深夜零時の呪い~止まらない負の連鎖~


「ところで……今、何時だ?」


「11時20分ですね」


恢斗から時間を聞くと、智弘は
軽く舌打ちをした。


「くそ……意外と時間が無いな。警察官に足止めをくらっていたのが効いたか。時間はちゃんと見ておこう。零時にトンネルの中にいることのないようにするために…」


零時にトンネルの中に……


聞いただけで体の奥底から
得体の知れない不安、恐怖が
込み上げてくる。


それだけは絶対に絶対に
避けなければいけない。


事件として騒がれてから何人か零時に
トンネルに入った人がいたが、


誰も食べられたりせず、無事に帰ってきたらしい。


だから心配する必要なんてないかもしれないけど……


やっぱりそれはやめた方がいいと思う。







「では、入りますね」


あぁ。


思わず両手を合わせ、ぎゅっと握りしめる。



ついに『幽霊トンネル』に入るんだ…。



「……」


立ち入り禁止と書かれた
ビニールテープを軽くまたぎ、
中へ入る恢斗。





< 41 / 318 >

この作品をシェア

pagetop