one’s life~吉木野乃花の人生、全四話~
「心配かけてごめんね」


「まあ、別に心配するのはいいんだけどさ。大事じゃなくてよかったよ」


「これ、よかったら食べてよ」


高史くんに差し出された袋にはいくつかの蜜柑が入っていた。


「ありがと。ただの風邪みたいだから、明日には退院できるだろうって」


「そう、よかった」



「…翼くんと何かあった?」


少しの沈黙の後、そう切り出したのは七織ちゃんだった。


「……」


「言いたくないなら、今はいいけど。ただ、翼くんお見舞いには行かないって言うし」


「…翼くんと話したの?」


「電話がかかって来たんだよ。吉木はどうしてるかって、俺に」
「そうなんだ」


「あいつ、転校するかもしれないとか言ってたけど、何か関係あるの?」
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