誰も知らない彼女
あれ? でも待って。
じゃあ、なんで由良は泣いていたの?
聞いた話の中で由良が泣くような要素はひとつもないはずだ。
それに関連するなにかがあるのかな。
もしそうだとしたら、由良の話にまだ続きがありそうだ。
「話を変えるけど、なんでさっき泣いたの?」
そう聞いたときに由良の目にうっすらと涙が浮かんだが、すぐに気づいた由良が目をこしこしと手で優しくこすって涙を拭く。
ふと鏡の中の由良を見てみるが、由良の髪が邪魔しているせいで顔がよく見えない。
ほどこしたばかりのメイクが再び落ちないように涙を完全にぬぐい終わって、ようやく由良がこちらを見た。
「私が夜に抹里と電話したときあったじゃん」
あぁ、そういえばあったな。
私が奇妙な視線を感じたと相談した日に、由良が好きな人がいると言っていた。
「あったね。好きな人ができたって言ったよね」
「うん。私、勇気を出してその人に連絡先交換したいって言ったの。連絡先ゲットしてその連絡先に電話したんだけど、全然出なくてさ。何回かけてもつながらなくて、その人が死んじゃったのかなって想像しただけでもう……」
そこまで言ったところで由良が泣きはじめた。
由良の好きな人が電話に出ない。
そんなことあるのだろうか。
ただの偶然でしょ、と思ったが、何回かけてもつながらないのはおかしい。
じゃあ、なんで由良は泣いていたの?
聞いた話の中で由良が泣くような要素はひとつもないはずだ。
それに関連するなにかがあるのかな。
もしそうだとしたら、由良の話にまだ続きがありそうだ。
「話を変えるけど、なんでさっき泣いたの?」
そう聞いたときに由良の目にうっすらと涙が浮かんだが、すぐに気づいた由良が目をこしこしと手で優しくこすって涙を拭く。
ふと鏡の中の由良を見てみるが、由良の髪が邪魔しているせいで顔がよく見えない。
ほどこしたばかりのメイクが再び落ちないように涙を完全にぬぐい終わって、ようやく由良がこちらを見た。
「私が夜に抹里と電話したときあったじゃん」
あぁ、そういえばあったな。
私が奇妙な視線を感じたと相談した日に、由良が好きな人がいると言っていた。
「あったね。好きな人ができたって言ったよね」
「うん。私、勇気を出してその人に連絡先交換したいって言ったの。連絡先ゲットしてその連絡先に電話したんだけど、全然出なくてさ。何回かけてもつながらなくて、その人が死んじゃったのかなって想像しただけでもう……」
そこまで言ったところで由良が泣きはじめた。
由良の好きな人が電話に出ない。
そんなことあるのだろうか。
ただの偶然でしょ、と思ったが、何回かけてもつながらないのはおかしい。