誰も知らない彼女
心の中でつぶやいた言葉を口にするのに、そんなに時間はかからなかった。


「か、彼氏って、秋帆の……」


「そうよ。寝る前に彼に“おやすみ”ってメッセージを送ったんだけど、朝になっても既読マークが全然ついてなくて。不思議に思って彼の家に電話したら、昨日の夜に家を出たっきり帰ってきてないって彼のお母さんに言われたのよ」


そんな……。


いっちゃんの彼氏に続いて、秋帆の彼氏までもがいなくなるなんて。


どうして?


どうして男の人ばかりが行方不明になったり死んだりするの?


秋帆の言葉に愕然とするが、今一番気になっていたのはそのことだった。


被害者が全員男の人なことに疑問を覚えていた。


最初に、磐波さんとともに合コンに参加していた野々村さんと畠さんが行方不明に。


それと同時に、いっちゃんの彼氏の広隆さんが学校の裏側の雑木林で遺体として発見された。


そして、秋帆の彼氏も行方不明になった。


被害者の4人になにか共通点があるの?


4人になにかしらのつながりがあるとは、到底思えなかった。


「おかしくない? このあたりで起こってる事件」


「ネネ、なにがおかしいっていうの?」


どうやらネネも最近起こった事件について気づいたことがあるらしい。


私も気づいたことがあると言いたかったが、ふたりの会話に水をさすのはさすがに気がひけて、ギュッと口をつぐんだ。
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