誰も知らない彼女
ふたりの会話だけが踊り場に響きわたる。
「だってさ、事件の被害者が全員男の人じゃん。なんで男の人だけがターゲットになってるわけ?」
「……私に聞かないでよ。そんなの私だって知りたいわよ」
「学校から一斉下校の指示が出た日にふたりの男の人が行方不明になったって聞いたでしょ? 同じ日に雑木林で死体が見つかって、それがいっちゃんの彼氏で。それに加えて、秋帆の彼氏までもが巻き込まれるなんて。こんなの、連続殺人事件以外のなにものでもないよ」
「……可能性はゼロではないわね」
考えていたことは私とまったく同じだったようだ。
たしかにネネの言うとおり、起こったのは連続殺人以外のなにものでもない。
野々村さんと畠さんと秋帆の彼氏についてはまだ殺されたと決まったわけではないけど、これだけ時間が過ぎていたら生きている可能性はきわめて低い。
犯人はいったいなにを考えてるの?
なんでこんなことばかりしてるの?
私の周りでは悲しんでる人がたくさんいるのに。
お願い、やめてよ。
犯人が誰かはまだわからないけど、もう誰かを殺すのはやめてよ。
目をつぶって心の中で祈っていると、ネネに突然声をかけられた。
「抹里ちゃん、まだ秋帆の彼氏は生きてるよね。ていうか絶対生きてるよね?」
バッと声のしたほうに目を向けて驚く。
なぜネネがそんなことを私に聞くのか。
理由は知るよしもないが、私はこう答えるしかないのだ。
「うん。いつか秋帆のところに戻ってくるよ」
と……。
「だってさ、事件の被害者が全員男の人じゃん。なんで男の人だけがターゲットになってるわけ?」
「……私に聞かないでよ。そんなの私だって知りたいわよ」
「学校から一斉下校の指示が出た日にふたりの男の人が行方不明になったって聞いたでしょ? 同じ日に雑木林で死体が見つかって、それがいっちゃんの彼氏で。それに加えて、秋帆の彼氏までもが巻き込まれるなんて。こんなの、連続殺人事件以外のなにものでもないよ」
「……可能性はゼロではないわね」
考えていたことは私とまったく同じだったようだ。
たしかにネネの言うとおり、起こったのは連続殺人以外のなにものでもない。
野々村さんと畠さんと秋帆の彼氏についてはまだ殺されたと決まったわけではないけど、これだけ時間が過ぎていたら生きている可能性はきわめて低い。
犯人はいったいなにを考えてるの?
なんでこんなことばかりしてるの?
私の周りでは悲しんでる人がたくさんいるのに。
お願い、やめてよ。
犯人が誰かはまだわからないけど、もう誰かを殺すのはやめてよ。
目をつぶって心の中で祈っていると、ネネに突然声をかけられた。
「抹里ちゃん、まだ秋帆の彼氏は生きてるよね。ていうか絶対生きてるよね?」
バッと声のしたほうに目を向けて驚く。
なぜネネがそんなことを私に聞くのか。
理由は知るよしもないが、私はこう答えるしかないのだ。
「うん。いつか秋帆のところに戻ってくるよ」
と……。