誰も知らない彼女
クラス一目立つ女子として注目を浴びている。


日焼けしたような小麦色の肌。


由良よりも色の明るい茶髪をきつく巻いている。


メイクもネイルもまねできないほど派手。


そんな容姿でも、秋帆は嫌いではない。


生まれつき地毛である私のダークブラウンのウェーブがかった髪を『可愛い』だったり『おしゃれでまねしたくなる』と過去に褒めてくれたから。


秋帆の髪型はおそらく私のまねだろうと思う。


でも、小麦色の肌は絶対に私のまねじゃない。秋帆の地肌だろう。


周りから「色白だよね」と何度も言われたことがあるし。


「ははっ、だよね〜」


「朝丘って、ただ周りから好かれたいだけでしょ? みんなにいい顔見せてればそれでいいって思ってんじゃないの〜?」


「ギャハハ、秋帆ってば言いすぎ〜! おかしすぎて涙が出そうなんだけど〜!」


秋帆の隣でゲラゲラと笑っているのは、同じく若葉を嫌う女子。


秋帆とよく一緒に行動する女子だ。


秋帆と同じ雰囲気でちょっと近寄りがたいけど、由良たちと同じく信用性がある。


「ねぇ、朝丘って性格ブスって感じじゃない? 笑顔まき散らしてるけど、本当は腹の底でバカにしてるでしょ、絶対」
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