あなたしか見えないわけじゃない
それから3日間は彼の部屋に行かなかった。
夜勤もあったけど、それ以上に自分の気持ちのコントロールができそうになかったから。

体調が悪いことにしてメッセージを送った。
こんなことは初めてだったけど彼からは「早く直せよ」と返信がきただけだった。
心配もしてもらえないらしい。

気持ちのすれ違いは私が考えるより大きいものなのかもしれない。
今や彼にとって私は取るに足らない存在なのかな。
胃がしくしくと痛み、食欲がない。
あと少ししたら今までのようなペースでは会えないだろう。
でも、彼は何も気にする様子はない。
私は自分の気持ちの置き場がない。
以前は玉の輿に乗るつもりなんてサラサラなかった。でも、今は彼と付き合っていくその先に結婚を望んでしまっていたんだ。ずっと一緒にいる未来を。




金曜日の昼間に帰省の支度をしておく。
土曜日の朝、夜勤から戻ったら洋兄ちゃんと実家に帰るんだ。
久しぶりの実家。

洋兄ちゃんと私の実家は横浜から車で1時間半程走らせた所にある。
海に沈む夕陽を見ることが出来る街だ。
母の手料理といつもはうるさいほどのおしゃべりも今回は楽しみ。
ただ、恋愛や結婚には触れて欲しくないな。



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