あずゆづ。

***

「……『うさぎの小屋』…???」


ゆうちゃんに連れてこられた場所で、目の前に現れた、建物。

看板には、『うさぎの小屋』と書かれていた。


「えーっとここは……ペットショップ……??」


なぜここに連れてこられたのかもわからないまま、隣に立つゆうちゃんに聞くと。

私の質問に対してゆうちゃんは、にこりと笑って首を横に振った。


「喫茶店」

「喫茶店!?」

「うん」


また、にこっと笑ったゆうちゃん。

まるで、女の子のようだ。

天使だ。


悪いけど、ゆづくんのソレとは比べものにならない。

だってゆづくん、鬼の形相だから、うん。

すぐ怒鳴るし、うん。


というか、こんなところにこんなにかわいい名前の喫茶店があったなんて知らなかったなぁ。


そして私はふと、あることに気づく。

あれ?そういえばゆうちゃん……


「え、もしかしてゆうちゃんの言ってた行ってみたいところって…」


喫茶店から隣のゆうちゃんへと視線をうつせば、ゆうちゃんは首を軽く傾げながら恥ずかしそうに笑った。

その仕草もまた可愛い。

そのスキルはずるいんじゃないだろうか。


「そ、ここ」


そんな女子キラーなスマイルをぶっぱなしたゆうちゃんは、あっさりと私の質問に対してうなずきと天使のような笑顔で肯定した。


「えええ!?」


ま、まじですか!?


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