あずゆづ。
「……」
『うさぎの小屋』という名前なくらいだから、勝手にファンシーな内装を想像していたのですが。
実際に中に入って見てみると、以外と落ち着いた雰囲気の内装でした。
木が主体となっており、確かに『小屋』という表現がしっくりくるような雰囲気。
店内はオルゴールのゆったりとしたBGMが流れており、所々に可愛いうさぎさんのぬいぐるみが置かれてある。
あ、リスもいる。
「いらっしゃいませ、お二人様ですか?」
「!!」
こういうところにあまり来ることがない私。
物珍しく店内を見渡していた時、突然店員さんに声をかけられ、びくりと肩をふるわせた。
そして思わずゆうちゃんの袖をつかみ、彼の陰に隠れる。
び、びっくりした。
店員さんが近づいて来たことに全然気づかなかったよ……。
「はい」
そんな私を気にも止めない様子のゆうちゃんが代わりにこくんと頷きながらそう返事をすれば、店員さんに席を案内される私たち。
店員さんの服装は、黒地主体のワンピースに白いフリフリエプロンのメイド服。
『うさぎの小屋』だけあり、小さなうさ耳もしっかりついていた。
よかった露出度高めのセクシーなバニーガールとかじゃなくて……。
だって目のやり所に困るじゃありませんか。
「梓ちゃん、さっきからぎこちないけど大丈夫?
さっきも店員さんの声でびくついてたけど…」
ゆうちゃんにそう声をかけられたことで、やっと、私がまだゆうちゃんの服の袖を握っていることに気づく。
「あ、いや……こういうとこ、慣れてなくて……」
そう返事をしながら、2、3歩下がってゆうちゃんから距離をとった。
「そうなんだ…悪いことしたな」
私の言葉を聞いて、下を向きしゅんと落ち込んだ様子のゆうちゃん。